編:中丸弘子、グリンバーグ治子 画・文:マリアン・コウォジェイ 仕様:A4判並製128頁 ISBN:978-4-906873-93-7 発行日:2017/8/15 「あなたが生き残ったのは、生きるためではない。もう時間がない。 目撃者として証言しなければならない」 アウシュヴィッツで灰と消えた無数の人々への献辞 「記憶のネガ写真:迷路」と題され、ポーランド・グダニスクの教会で展示された絵は、アウシュヴィッツ強制収容所から生還したマリアン・コウォジェイが、封殺していた記憶を描いたものである。 善なるものを表す人間と、悪の象徴である獣。餓死刑を宣告された囚人の身代わりとなって死んだコルベ神父。囚人仲間たちの顔を忠実に再現し、スケッチの中に込めた言葉。 強制収容所で見たこと、感じたこと、そしてコウォジェイの想いが込められた各作品からホロコーストへの理解が深まる。
◆マリアン・コウォジェイ 1921年、ポーランド・ラシュコフ生まれ。画家、舞台美術家。 18歳のとき、反ナチスのポーランド地下組織を支えるボーイスカウト活動中にゲシュタポ(ナチスの秘密警察)に逮捕され、1940年、「政治犯」としてアウシュヴィッツ強制収容所に送られる。1945年までの5年間を強制収容所で過ごし、終戦で解放され生還。その後クラクフ芸術大学で舞台美術を学び、1950年卒業、以後40年間、グダニスクのヴィブジェジェ劇場で美術監督として活躍した。1987年にはポーランド生まれのヨハネ・パウロ二世がグダニスクを訪れた際、野外ミサのための祭壇をデザインしたことでも知られる。 1992年脳卒中で倒れたあと、リハビリとして鉛筆画を描き始め、亡くなる直前までの16年間にアウシュヴィッツの体験を描き続けた。その絵の数は250枚を超える。 2009年グダニスクで逝去。
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