978-4-906873-97-5

虹 日本弘道会のさらなる発展のために  (978-4-906873-97-5)

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著者:平山一城
仕様:四六判並製240頁
ISBN:978-4-906873-97-5
発行日:2017/11/1
第9代日本弘道会会長鈴木勲の軌跡
「日本弘道会」と聞いてもピンと来ないかもしれません。しかし、140年の歴史を誇る組織と聞けば驚くでしょう。2018年は明治維新から150年になりますが、その維新からほぼ10年後に誕生したのです。
戦後の長きにわたり、この会をリードし、現在も活動している第9代会長(元文化庁長官)、鈴木勲の初めての評伝です。
――日本弘道会は、どんな活動をしているのか。
会は明治の思想家、西村茂樹が立ち上げました。西欧の模倣と追随に終始する当時の政治や社会の在り方に警鐘を鳴らし、国民道徳の確立を訴えたのです。
晩年は、全国を行脚して、国民道徳の実践と普及に生涯を捧げました。
日本が「国家としての品格」を保ち、そのうえで国際社会に生きるのでなければ、国民を幸せにすることもできない、というのが彼の主張です。
鈴木勲は、“ミスター文部省”と呼ばれた初等中等教育局長から文化庁長官への道を進みますが、戦後一貫して「道徳の復権」を叫びつづけます。
日本人は、敗戦という初めての経験で自信を喪失し、それまで営々と積み上げていた伝統や文化まで失いかけます。「おぞましい軍国主義を生んだ国民」という国内外の批判によって、「戦前」を全否定しなければならない、とする妄想に取りつかれていました。
そうした精神構造のねじれを立て直し、「国家の品格」を取り戻す。このことが日本弘道会の新たな使命となっていたのです。
本書は、卒寿(90歳)を過ぎてなお、歩みを止めない「鈴木勲」の人生に焦点を当てました。幼少期から、旧制二高時代の山岳部での活躍や恩師・野口明との交流など、現在までの知られざるエピソードが満載です。

◇著者のことば◇
いま、日本の若者はインターネット世界にひたり、本を読みません。自分たちの国の歴史や共同体の「よき伝統」と縁が切れることにも無頓着で、国家や郷土といった観念はますます希薄なようにみえます。
「日本人のアイデンティティー」という言葉が使われます。グローバル化と呼ばれる国際社会に対応した人材育成を説く際によく出てくるのですが、では「アイデンティティーとは」と問われ、日本語にどう訳せばいいのかも固められないまま、空疎な内容の学校教育が続いているように感じられます。
日本人はどこに行こうというのだろうか。鈴木勲は、日本の若い世代が少しでも多く、この会の主張に関心を持ってくれること、一緒に考えてくれることを切望しています。その思いをくみ取りながら、その信念の人生を記録しました。

◇著者略歴◇
DSC00232_3平山一城(ひらやま・かずしろ)
ジャーナリスト。1975年、北海道大学法学部を卒業し、産経新聞に入社。社会部、経済部、外信部を経て米ワシントンのジョンズ・ホプキンス大大学院(SAIS)に留学、国際関係論の修士を取得。1991年の湾岸戦争で中東取材、ソ連崩壊後のモスクワ特派員や論説委員、編集委員を歴任した。著書に『長野県知事・田中康夫がゆく』(扶桑社)『信州スタンダードで大丈夫か!?』(産経新聞)『大学の淘汰が始まった!』(宝島社)『都議・立石晴康の「孤高の真実」』(悠光堂)

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